奏が想いを寄せる相手、それは同じクラスの悪ガキ、小松田一徳。じゃれあっては喧嘩のように言い争いをする二人。奏の心境は複雑だ。 学校で流行ったおまじないがある。折り紙で作った紙ヒコーキに好きな人と自分の名前で相合い傘を書いて39回飛ばせば両想いになるというおまじない。 夕暮れ、引っ越しのため、もうすぐこの街を出る奏と一徳は、桜の木の下でこのおまじないを実行する。一徳が口にした「好きな人」の名前は奏ではなかった。奏は一年後にまたこの桜の木の下で逢おうと精一杯の約束をする。 一年後、奏は、妹の蕾(つぼみ)を連れて、桜の木の下へ向かう。おまじないと、ちょっとした勘違いが、招いた恋のゆくえは…。