2004年に急逝した作家・鷺沢萌のパソコンから発見された未完の小説を原作に、創作部分も挿入しつつ繰り広げられる少女の思春期ストーリー。優等生であることにコンプレックスを抱いている芽衣子(堀北真希)は、劣等生のゼンコー(細山田隆人)に淡い恋心を抱くようになり、バレンタインデーの日に告白しようとする…。とにもかくにも堀北真希の繊細なる存在感が圧倒的で、彼女の魅力で作品全体が持ちこたえているといってもよいほど。特に彼女がゼンコーの家で麻雀させられる羽目になるあたりの過程は見せ方もよく、また親友マッキー(柳沢なな)との毎日の帰宅風景でのやりとりも、さりげなく自然でいい。もそれだけに10年後のエピソードはもはや不要だったような気もするが、作る側は単なる思春期映画にしたくないという想いもあったのだろう。堀北ファンなら一度は観ておくべき佳作である。(増當竜也)