おしづ(長山藍子)は、女将のおはま(乙羽信子)が病気がちのため、深川の岡場所で手伝いをしていた。霧雨の降る春の宵、酔いつぶれた貞吉(竹脇無我)という男が仲間に担がれてきた。「しづやしづ…」と、静御前の歌を悲しい声でつぶやく貞吉に、おしづは惹かれるものを感じ、自分の部屋で彼を介抱する。また、糸屋の婿養子で女房との折り合いが悪かった貞吉も、おしづの慎ましやかな優しさに触れ、心が傾いていった。それ以来、貞吉はおしづの所へ足しげく通うようになり、おしづも貞吉が来るのを待ちきれなく思うようになっていた。そんなある夜、貞吉から「一緒に所帯を持ちたい」と告げられる。だがおしづは…。